設立の経緯
〜 水を求めて 〜
 道前道後平野は、瀬戸内海に面し、瀬戸内気候特有の温暖ではあるが雨量の少ない地域であるため河川の流量が乏しく、昔からかんがい用水が不足し、しばしば干ばつの被害を受けてきました。このため先人たちは、ため池を築くなど用水確保に涙ぐましい努力を重ねてきました。
 特に、昭和20年代の食糧難もあって、恒久的な用水対策が強く望まれ、昭和27年度に道前道後両平野の関係者が一体となり、仁淀川水系に「面河ダム」を建設し、農業用水を確保するとともに、併せて発電、工業用水も含めた総合開発計画が決定されました。
 農業用水については、国営農業水利事業として道前平野、道後平野の水田11,780ha、樹園地1,420ha、計13,200haのかんがい(かんがい期間:6月6日〜10月5日)を目的とし、昭和32年度に着工、昭和42年度に完了し、以後地域農業の振興に貢献をしてきました。
(3)施設の概要
  区   分 施  設  内  容
共同施設 面 河 ダ ム 総貯水量 28,300千m3 有効貯水量 26,800千m3
承 水 施 設 面河第一承水堰他11ケ所 承水路延長 8,530m(内随道8,270m)
放水導水施設 放水導水路           総延長 12,862m
中山川逆調整池        容量150千m3
北部幹線用水路(道後平野) 工業用水共同 延長12,710m
農業専用施設 道前平野 中山川取水堰、道前幹線用水路、道前左岸幹線用水路
道前右岸幹線用水路               等 総延長26,620m
道後平野 道後北部幹線用水路、道後南部幹線用水路
道後南部赤坂線、横谷調整池、通谷調整池 等 総延長26,660m
道前道後平野農業水利事業(当初)
施設の概要
(1)受益面積
種  別 道前平野 道後平野 備  考
3,694.2ha 8,089.4ha 11,783.6ha  
 722.5ha  692.4ha  1,414.9ha  
4,416.7ha 8,781.8ha 13,198.5ha  
(昭和38年度)
(2)用水計画
計画基準年   昭和23年
給水期間   6月6日 〜 10月6日
補給水量 面河ダム 中山川自流水 備  考
道前平野 14,871,000m3 1,132,910m3 16,003,910m3  
道後平野 17,277,400m3 17,277,400m3  
32,148,400m3 1,132,910m3 33,281,310m3  
(著作権:白い地図工房)
設立の経緯
1.設 立 昭和34年12月25日 愛媛県指令土改区第421号
2.地 区 愛媛県 西条市


受益面積、受益戸数
面積(ha) 水田 3,465ha 受益戸数(戸) 6,773戸 備 考
果樹園 585.3ha           
4,050.3ha           
   
3.総 代 定数100名 15選挙区
4.役 員 理事19名 内1名学識経験者(行政機関長)
監事3名
5.職 員 8名
6.管理施設 道前平野土地改良区管内図
7.関連事業
名  称 事業主体 備  考
国営道前道後平野農業水利事業 農政局 平成元年〜19年
県営基幹水利施設補修事業 愛媛県 平成10年〜17年
国営造成施設管理体制整備促進事業 関係市町 平成12年〜21年
地域用水機能増進事業 改良区 平成11年〜18年
土地改良施設維持管理適正化事業 改良区  
21世紀土地改良区創造運動 改良区(モデル地区)  
農業用河川工作物応急対策事業 愛媛県 平成17年〜20年
新農業水利システム保全対策事業 改良区 平成17年〜21年
                                  Dozenheiya
  道前平野地区の農産物の生産の内訳
V 営農状況
道前平野地区の受益面積約4,416.7haのうち83.6%を占める水田地帯では、水稲を中心に一部水田の畑利用及び野菜等の裏作作物の導入が推進されている。また丘陵地の果樹地帯では愛媛ミカンの全国ブランドの確立により温州みかん、かき、伊予柑を主体とした営農が営まれている。
U 水利状況
1.用水
この地区の主要水源は、中山川本・支流及び、高松川・西山川・新川・大明神川・大曲川・崩口川・大川・境川・一ツ橋川等の河川に設けられた釜之口堰ほか60余ヶ所の井堰・大谷池・池之内池等の大小100余ヶ所の溜池並に、140余ヶ所の揚水機、その他、自然湧水池30余ヶ所等を利用していたが、旱魃年には用水に不足を来たし、旱魃を避けられない状況であった。
この水利状況を解消するために計画された道前道後平野農業水利改良事業によって、補給水が確保され、井堰の統廃合、溜池の調整揚水機の一部廃止等その事業効果の顕著なものが認められた。
2.道前道後平野農業水利事業(現行)
前述したような用水不足の窮状を打開するため、道前道後平野農業水利事業の当初事業が昭和32年度から昭和42年度にかけて実施された。
この事業の最大の特色は流域外に新たな水源を求めたことである。
愛媛県内でありながら仁淀川に吸い寄せられ太平洋に流下する面河渓谷一帯に降る雨水を面河ダムに貯え、それを四国山脈の山並みにトンネルを穿つことで道前道後の両平野に導いたもので、これが山並みを越えて架かる水の連なりであることから虹の用水と称せられる所以である。
この事業により、道前平野の耕地に安定的なかんがい用水の補給を可能にしたものである。
その後当初事業で造成された面河ダムや幹線用水路、取水施設等の老朽化した施設を改修し従前の機能を確保するとともに、水管理施設等の近代化を図っている。
更に志河川ダムを新設するなどにより水田裏作用水及び新規受益地へのかんがい用水の確保など、農業用水の安定的な供給を図るための現行事業が平成元年度から実施されている。
T 地区の概要
1.地  形
愛媛県のやや東部に位置し、四国山脈と高縄山脈との間の中山川沿いに、瀬戸内海に向かって拓けた扇状地である。
2.地  質
この地域の地質は、中山川によって沖積された第4紀新層とこれに隣接した第4紀古層により構成されている。
その分布としては、中山川左岸の丹原町、東予市地区の大部分と右岸の国道以西は第4紀古層に属している。一般に和泉砂岩・結晶片岩・花崗岩の風化堆積した洪積土で、母岩は和泉砂岩である。耕土は深さ10cm〜20cmであり、作物の栽培には適した土質である。
 地下水は従来東予市以東の地区に多く見られたが、最近の都市化に伴う大量使用で年々その量が低下しているのが現状である。
3.気  候
この地区の気象上の特徴は、気温は全国平均より高く、降水量は比較的少なく、4〜5年に1回の割合で旱魃に見舞われ、同様の周期で台風に伴う大雨にも見舞われることもある。
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